【コラム】人の声に嘘はない、ということ|「1945」戦争を知っているおじいちゃんおばあちゃんの話

KURASOU.では、毎年終戦記念日にコラムを発信しています。子どもとの暮らしの中で、今、メンバーが感じていることを表現しています。今まで発信してきたことを、ご紹介して、本文へ入ろうと思います。

●2014年、KURASOU.として初めて、平和とは何かを問い、発信をしました。
「私の身体と心にしみついている、8月の“当たり前”の光景がいつか日本中の“8月の姿”になるように、
私はできることからはじめていきたいと思います。
【コラム】平和を願う、8月の日 より」

●2014年8月には、ちひろ美術館・東京学芸員 の方をお迎えして、いわさきちひろが描く戦争のこと、
平和のことを読み聞かせを通して語り合いました。
そして、いわさきちひろのように、我が子を絵にしてみよう、という試みに取り組みました。
【開催レポート】KURASOU.×ちひろ美術館・東京「ART meets LOVE&PEACE」

●2015年には、長崎より、コラムを発信しています。
このような話題について、まずは夫婦で情報を共有したり、議論をしたりすることが当たり前になり、
こどもたちを巻き込んで家族で話をすることを日常にすることが、
「平和のために私たち家族ができること」につながっていくと思っています。
【コラム】終戦70年目によせて より」

●同じく2015年には、長崎にて行なわれた、親となったひとたちが生まれ育った地を巡り、
学び直すフィ−ルドワークとして様々な方にインタビューをした様子を発信しています。
【家外学習】平和教育を学校任せにはできない。(KURASOU.家外学習from長崎)

●2016年には、多様性とはなんだろうか、とメンバーが問いました。
「現実に悲観せず、かといって楽天的にもならず、ただただ自分のできることに集中し、
自分の活動に希望を持ち続けること。」
【コラム】戦後71年目によせて

そして今年2017年には、メンバーが手紙を交換するようにして、それぞれの地で迎えた原爆投下の日に寄せて、発信をしました。
【コラム】戦後72年の今を生きているわたしたち|軽井沢と長崎にて

少し駆け足で振り返りましたが、こうしてみると、ほんの少し前に進みながらも、親として何ができるのかを、ずっと問い続けているように思います。


人の声に嘘はない、ということ

先日、KURASOU.藤岡が、「1945」戦争を知っているおじいちゃんおばあちゃんの話 に参加してきました。

「1945」戦争を知っているおじいちゃんおばあちゃんの話とは?
一つのテーマとして「1945」を掲げ、戦争の話はもちろん、1945年前後のくらし、文化、風習、日常の話を全国各地のおじいちゃんおばあちゃんに聞きたい!
聞きたくても聞くことができなくなってしまう日がくる前に、映像アーカイヴという形で貴重な証言を残し、若者たち、子どもたち、未来へ伝達していくWEBサイトです。

話し手は、木村 禮子(れいこ)さん。1929年生まれ。1945年当時16歳、女学生でした。
豊島区長崎生まれ、幼少期に神奈川県横須賀市に移り、育ちました。(一時平塚市に下宿されています)
お母様が海軍の寄宿舎をしていたことから、海軍の方々に妹のようにかわいがられて育った木村禮子さん。
戦中戦後の横須賀の話をはじめ、浦賀ドック、平塚空襲の間一髪の行き来。
そして、三浦半島で密かに行なわれていた特攻艇「震洋」の船員たちの様子。
教員経験から、教育勅語の話などにも及びました。

木村さん

「人の声は、嘘がないんですよ。」最近、あるラジオ番組構成作家さんがこう話してくれたことが
頭に何度も浮かびました。
声に加え、息づかい、視線、呼吸の置き方、そしてほんのり香る、なつかしいおばあちゃんのコロンのにおいも。

あまりにも生々しい、16才の少女が過ごした「当たり前の日常に入って来た恐ろしさ」を淡々と語る木村さん。
自分の呼吸が浅くなり、ただただ聞き入っていた時間でした。そして、恐れも感じました。

人によっては、不都合な真実かもしれません、と木村さんは最後にこういってくれました。
木村さんがみてきた横須賀・三浦の地では、ほとんど自分の語りを生かすことができないのですと。

それを聞いたとき、今私たちは、出来る限りのことをして、様々なひとから、色んな場面を聞いていくこと、
質問していくこと、それを子どもらに自分なりに伝えておく必要があることを、強く感じたのです。

「1945」 のサイトでは、13名の方の話がアーカイブされ公開されています。
少しだけ寝る前に時間に。ふと何か感じたとき。子どもとちょっと喧嘩をした後に。ぜひ一度、語る「声」を聞いてみてください。

「1945」Facebookページ からの情報もチェックしてみてください。

 

(藤岡)