【コラム】自分で決める立場や、感情にしっかり目を向けること |軽井沢町と仙台にて

KURASOU.メンバー同士で交換し合うコラム。
毎年8月15日に公開しています。今年で、6年目。私たちも年を重ねてきました。


正直に言って、親の学び場を、やめた方がいいかもしれない。そんな気持ちが揺らぐことが起きました。
これまで一緒に、親が政治とどう向き合うのか、コンテンツを共につくってきた友人が、
参院選に立候補したからです。
今まで、KURASOU.は、”中立”の立場で政治や食、エネルギーや、
それに平和を考える時間をつくってきたのに、私は生まれて初めて、ある特定の誰かを応援したいと言う気持ちになったからです。


これには、本当に葛藤しました。
結果として、私はその友人を応援することをSNSで公にし、200を越えるリアクションが寄せられました。
リアクションの数字のことよりも、自分自身へのOKが出せた気がして心底ホッとしました。

確かに、フラットな立場で考える場も必要。
そして時に、熱量高く、ある特定の感情を出すことも、きっと必要なのだと、OKを出せた。
それはどんな物事においても、そうかもしれません。

そんな私の意思決定を最も支えてくれたのは、他でもない、KURASOU.の齋藤愛さん。

そんな愛さんと今年も8月15日に、こうして書簡のやりとりができて、嬉しく思います。

2019年8月15日(木)藤岡 聡子


夏の訪れが遅かった仙台。
真夏が一気に襲ってきて、こどもも大人も、その波に合わせるのがやっとの日々。

長男が持ち帰った朝顔に、次男と三男が「おれがやる!」と主張しあい、
喧嘩しながら水やりをする我が家の朝。
毎日変わらないこの光景は意外と愛おしいものだな、と思える心境の変化に自分で驚いています。

さて、もうすぐ74回目の8月9日。

その日は、東京のスクールに通う長男を迎えにいくため、上京予定。
だからちょっと早めに、聡子へ綴ります。

合図をしてくれたらいいのに‥

「サイレンの鳴らない8月9日」に慣れない私。
8月6日もそうだけど、学校のチャイムのように日本全国で合図をしてくれたら、
ほんの一瞬でも、この日のことを、立ち止まって考えたり、祈ったりする人が増えるのに‥と
思っているのですが。

長崎では当たり前に受けてきた「平和教育」のその「根」がしっかりと張っていることを自覚すると、
小さい頃からの継続的な平和教育の意味は深いものなんだな、と気付かされます。

じぶんの感情に気づくということ

話は変わりますが、 先日わたしがスタッフを勤める学習塾で「こども哲学」を行い、
20名のこどもたちが参加してくれました。

いつもは自学自習する場、なこともあり、
椅子とテーブル使わず、床に円になって座ることにも、ドキドキした模様。
初めての子ばかりなので、絵本を入り口に、
「人と同じであることってどうだろう」
「みんなが同じだったら世界はどうなるんだろ」
「友達になるってどういうことなんだろう」 ということについて、探究しました。

その中で印象的だったのが、
「ここに来るまでにあった嬉しかったことをシェア」というウォーミングアップをしたのですが‥
7割の子が「なにもない」と答えました。

その理由は、 「毎日なにも変わらないから、とくにない」とか
「起きてご飯食べて習い事行って終わり。うれしいことなんてない」など。
「うれしい」という気持ちがどんなものか分からないのかもしれませんが、ちょっと寂しいなぁ、と感じたのです。

「小さなことでいいから、毎日のなかで、嬉しいってことを見つけられたらいいね」と
模範解答のように話をしてみたものの、
喜怒哀楽をはじめとするじぶんの感情に気づき、はたまたそれを外に表現することは、
訓練が必要なのかもしれないとも思ったのでした。

私ができる平和な時間の作り方

「毎日変わらないからつまらない」と思うのか「毎日変わらないことこそ尊い」と思うのか。

子供の頃の私も前者のように感じることがほとんどでした。
田舎(=長崎)を早くでたい、ここにはなにもない、都会に行きたいという一心だったから。

でも、子供を生み育てながら、我が子以外の子たちとも接することで、
後者のような感覚が分かるようになってきて、
3人目にしてやっと(笑)冒頭のようなゆとりさえも生まれるようになりました。

そして、自分に根付く故郷を大切だな、と思えるようになったんですよね。
こどもたちの真の声を丁寧に聞くこども哲学の時間は、とっても「平和な時間」なんだと私は思っています。

だから私は、自分にできる「平和な時間」を作り出す機会を増やしていきながら、
私なりの「平和の根」をここ仙台で張り巡らせれるように、少しずつやっていこうと思っています。

8月9日、少しでもあの日のことを思い出してくれる人がいますように。合掌。

2019年8月9日(金)齋藤愛