KURASOU.初の休日開催。
夏休み最後の日曜日にも関わらず、参加者のほとんどがご夫婦での参加をしていただきました。
平和について、戦争について、私たちはどの程度立ち止まって考えることがあるでしょうか。
また、そのことについてどの程度家族で会話をする機会があるでしょうか。
前半は、ちひろ美術館・東京学芸員・原島恵さんによる、
大人のための絵本読み聞かせ、いわさきちひろの世界をお話いただきました。
時を前後して、asobi基地保育でも。
「お父さん、母さんたちもこのことをいまやっているんだよ」というと、さらに熱心に聞き入るこどもたち。
・初めて、「大人のための読み聞かせ」に参加して、気持ちがしっとりしました。
・「大人への読み聞かせ」がよかったです。イメージが強く残りました。
・ちひろの絵本は知っていましたが、作者が戦中戦後をたくましく生きた方とは知りませんでした。
そこに込められた想いが今では感じられます。
原島さんのやさしくも、芯の強さが感じられる語り口調に、大人たちは魅了されていきます。
そして、いわさきちひろさんが生きた人生と、描き続けた子どもの絵に込めた強い想いを知ることとなります。
「ちひろが子どもを描くその奥には、お母さんのまなざしがあるんです」と原島さん。
戦争という悲惨な状況の中でも、お父さん、お母さん、子どもたちがいる。そして、そこには「愛」がある。
いつの時代も変わらない、「愛」という尊い気持ち。
子どものころ何気なく読んでいた絵本に、再び出会うタイムスリップしたような感覚。
これからちひろさんの絵本を子どもに読む時には、この時の情景が浮かぶかもしれません。
後半は、
アーティスト、ユイ・ステファニーとのコラボレーション企画「世界に一枚の子どもの絵を描こう」。
子どもの絵を、一人一枚ずつ描きました。
・よく見て描く、ということを通じて、愛おしさが増すということ
・子どもの顔をまじまじと見ると、いろいろな発見があって面白かったです。
・集中して、一歩踏み込んで自分の家族の顔を見て楽しんで描いている姿をみて、やってよかったと思いました。(ユイ・ステファニー)
「絵を描くってきっと難しくて、なかなか描きだせないかも・・・」と予想していたわたしたち。
“スタート”の合図とともに、大切な家族写真をそばに置きながら、鉛筆が進みます。
躊躇することなく描き続けるかた、構図をしっかり考えて描くかた、全体を描いたり顔のパーツを描いたり、
さまざまな描き方、世界を繰り広げてくださいました。
見慣れているはずのわが子の写真を、じっと見つめるその視線には、「愛」があふれていました。
・これから平和について、次の世代に伝えていくことについて、考える機会になった
・戦争や平和については、普段あまり触れないテーマだったので、考える機会となった
・子どもへの伝え方は、いろんな方法がある。これと決めずに色々模索して丁寧に伝えていきたい
・今回話した内容を家に持ち帰り「平和」について夫と語りあいたい
・親として、子どもに戦争や武力についてどう教えていくかは、すべての親の課題なのだとおもう
繰り返してはいけない過去の過ちから学ぶ教訓をどう活かしていくか。
そしてそれをどのようにして子どもに伝え、一緒に考えていくか、という課題はもちろんあります。
しかし、一番小さい集合体である、“家族”が、「愛」にあふれていること。
これこそ、平和であることの一歩であるのではないか、と感じるとても温かい時間でした。
会の最後には、会場の花みち図書館に、絵本を寄贈しました。
わたしたちなりのメッセージカードを添えて、本を手にとるひと達へ、
思いのバトンをつなぎます。
さて、asobi基地の保育で、楽しい時間を過ごしたこどもたち。
お散歩をして色んな発見をしたり、器用にハサミを使いこなして遊んだり、それぞれの遊びを満喫していました。
いわさきちひろさんの絵本も読み、
大人が感じたこと、子どもが感じたこと、同じ絵本を通して感じたことの違いをいつか話し合ってみる、
そんな機会ももってみたいです。
わたしたちに大切な時間をくれるasobi基地さん、こどもたちには、いつも感謝です。
工房、次回は9月より政治、食、廃棄物、インンクルーシブ教育と続きます。
またみなさんにお会いできますように。
(齋藤)
撮影:有吉緑、asobi基地
★ちひろ美術館・東京
「いわさきちひろ×佐藤 卓 =展」8月6日(水)−11月3日(月・祝)
NHKEテレ「にほんごであそぼ」のアートディレクションを務める、
グラフィックデザイナーの佐藤卓が、いわさきちひろの絵を、こどもたちに届くようにプロデュース中。
子連れでもゆったりできる美術館へ、ぜひ足を運んでみてください。
★ユイ・ステファニー
Artist / Painter
品川・天王洲アイルで、40m級の壁画を制作中。