KURASOU.で出会った人たちがより学びを育み、行動に移していくためのプラットフォームがあれば。そんな思いから生まれたオンラインサロン。
国内外にいる親をつなげ、オンライン(ウェブ)とオフライン(対面)の行き来によって、
より人と物の動きが活発になることを目指しために、初めてのオンラインサロンを全6回にわたって開催しました。
ことの始まり
親の学び場を始めた2014年4月に、『3years 復興の現場から、希望と愛をこめて』という本に出会いました。
現地で復興に関わる人達が紹介されている本の中で、釘付けになった場所。
それが、福島市にあるりんごハウス(※1)という、母親達が集うところでした。
当時りんごハウスにて交流の場を持っていた木下さんに会いに行きたいと、私の友人を通して連絡をとり、
KURASOU.メンバーと福島に初めて行きました。
(訪問の様子はこちら から)
たった半日だけなのに、「絶対にまたすぐ会おうね。」と言い交わすほどに引き合う気持ちを感じた福島の母たちと、
私たちKURASOU.メンバー。
福島からの帰り道に、絶対に福島をテーマにした学びの時間をつくろう、
そう固く誓ってから2年経ち、ようやく形にできたのが、このオンラインサロンでした。
東京を中心としたオフライン(対面)でのワークショップは15回以上。のべ150名以上の参加者とともに、
親の学び場をつくり続けてきたKURASOU.。
オンラインであれば、住む地域関係なく参加できるとあって、上海と日本全国をハングアウトを介して繋ぎました。
話す勇気、聞く勇気
「福島」をテーマにします。そういっただけで神妙な顔つきになる方も多いかもしれません。
サロンを中心に置いたのは、主観を入れず【そこに暮らす人達の生の声をきくこと。】でした。
復興現場の中にいる方からは、
・わたしと福島の始まり
・コミュニティ支援員の仕事
・目に映る福島の抱える課題
・この先に描く未来とは
を、データをみながら、活動内容、課題、希望についてサロン内でしか話せないことも含め、2時間対話し続けました。
原発事故2週間後に出産し、現在も福島市で子育てをしている女性からは、
・わたしがみてきた3.11までの福島
・3.11からの福島で経験したこと
・県外の親に知ってほしいこと、伝えたいこと
を30分ほど話をしてもらい、その後はサロン参加者が受け取ったメッセージを交換。途中では感極まる場面もありました。
「相手に受け入れられなかったら、どうしよう」。話すことは、とても勇気が要ります。
その勇気を出してゲストとして話をし、質問に答えてくださったお2人には心から頭が下がります。
そして、聞く側にも、勇気をもつことが必要なのです。
福島についてあまりにも知らなかった事実にショックを隠せないサロン参加者。
福島から遠く離れ、本音をいえば「対岸の火事だった出来事」に、6週間集中して向き合うのですから、
とても大変なことだったと思います。
知らないことから目を背けない。
毎回サロンが終わると、自分なりのアクションを起こし続けたサロン参加者の方々の熱量に、KURASOU.も何度も勇気をもらいました。
暮らしの延長線上に描くこれから
学んで終わりではなく、いかに自分の行動に落として行くのか。
リアルではない学び場だからこそ、具体的な行動こそを大事にしなければいけないと考えています。
いきなりはできないけれど、1年後を見据えて、少しずつ出来る範囲のことを。
参加者全員で、アクションシートの枠を埋め、宣言文を書きました。
6週間で見えてきた問いは、
・地域コミュニティの在り方、福島と、私たちの違いは?
・土地に根ざした毎日の暮らし方、どうやってつくっていく?
・電力をどう選んでいくのか?
・細く長く続けられる支援の具体的な方法とは?
・言葉を変換し、センセーショナルにならず福島を語っていくには・・・?など、一見福島とは関係がなさそうな言葉が並びます。
「どう暮らしていくのか?何を軸に、何に時間を使って生きるのか?」
そして、それをどうこどもに伝えて行くのか。
ひとつひとつを丁寧に考え抜き、いかに毎日の営みを行なっていくのか・・・。
改めて気づき直す機会となったのでした。
KURASOU.オンラインサロン、2回目は夏を予定しています。
テーマは「難民」。
これからも様々な形で、親の学びの機会をつくっていきます。
(藤岡)
●開催期間
2016年2月10日〜3月16日
●参加人数
6名(+2名KURASOU.メンバー)
●サロン参加者居住地:
上海、長崎、兵庫、富山、千葉、東京
●使用ツール:
Google社ハングアウト/テンセント社ウィーチャット
●ゲストスピーカー:
・復興支援員
・福島在住の母親
●サロン参加者限定の配信記事 (下記以外に関連記事など複数紹介)
読書レポート:6本
・『知ろうとすること。』早野龍五・糸井重里著 新潮社(2014)
・『はじめての福島学』開沼 博著 イースト・プレス (2015)
・『3years 復興の現場から、希望と愛をこめて』本間勇輝・本間美和著 A-Works(2014)
・『子どもはみんな問題児。』中川李枝子著 新潮社(2015)
・『自分のアタマで考えよう』ちきりん著 ダイヤモンド社 (2011)
・『栗原はるみ(はみちゃん)』栗原はるみ著 扶桑社(2006)
映画レポート:2本
・『抱く {HUG} (2014)』試写会感想&トークショーレポート
・『小さき声のカノン (2015)』 市民上映会感想&トークショーレポート
●満足度
100%
●全6回のうち、最も満足度が高かった回とその理由
・スピーカートーク「復興支援員に聞く今の福島」
−福島の抱える問題点を生の声で初めて知れた会だったので、インパクトが大きかった。
−体験された方の生の声が聞けて本当によかったです。
・スピーカートーク「福島在住の母に聞く、今、これからの福島」
−福島の方と直接話す機会、3.11以来一度も無かった。今回生の声を直に聞くことができて自分のこともたくさん考えさせられた。
−体験談、みなさんの意見を通して、自分の考えがクリアになってきたから。
●全6回のうち、最も不満足だった回
・オリエンテーション「なぜふくしまなの?」
・アクション発表「わたしと福島とのこれから」
−自分の問題なのですが、スタートから参加できる予定だったのに不測にも外出先の息子の不具合で大幅に参加時間をロスしてしまったので。
−必須だったので、選んだだけで不満足だった会はありません、すべての会が大満足でした!
−参加できない日もあったためもあったため。
−私自身が準備不足で臨んだのと、あえて不満足を選べばこの回かなという程度。
●サロンの通信状態について
満足 75%
普通 25%
●サロンの開催回数について
満足 50%
普通 50%
●値段設定について
満足 75%
普通 25%
●今後友人などに進めたいと思いますか?
進めたい 25%
テーマよって進めたい 75%
●運営者に対してのアドバイス
−人数規模は5-6人が適正なのかと感じる(最大でも8人)。あれ以上人が多い場合、
一人一人の発言時間が短縮されてしまう。今回は一人当たりの発言量が、話す方も聞く方もちょうど良かった。
●今後の予定
・サロン参加者限定のツアー
・非公開Facebookグループページでの情報共有、近況報告
(※1)りんごハウス
2012年8月から、地域情報誌「Dip」元編集長の木下真理子さんが、福島市にある「あんざい果樹園」内のログハウスを「りん ごハウス」として交流の場を作り、県内外の顔の見えるつながりを紡いでいます。「あんざい果樹園」