今年の6月、刑法の性犯罪規定が110年ぶりに改正されました。改正を大きく後押しした、「刑法性犯罪を変えよう!プロジェクト」による「ビリーブ・キャンペーン」の成果発表の場へ参加してきました。
これまで、刑法の性犯罪規定を変えるため、いくつもの女性団体、人権団体や被害当事者団体・個人が国会に要望を続けてきました。
集めた署名は「5万4000筆」、国会議員「45名」に面会。一般向けの性に関するワークショップには「500名」が参加(うち半数は大学生)。フェミニスト・アートを生かし幅広い層に共感を呼び、改正を大きく後押ししたのが「刑法性犯罪を変えよう!プロジェクト」による「ビリーブ・キャンペーン」。
この「刑法性犯罪を変えよう!プロジェクト」による「ビリーブ・キャンペーン」には、
4つの団体、若手フェミニスト・アーティストのグループ「明日少女隊」、
性暴力ゼロを目指す「しあわせなみだ」、
性犯罪の実態に合わせた刑法改正を目指し勉強会などを行っている「性暴力と刑法を考える当事者の会」、
皆が自分らしく生きられる社会を目指す「ちゃぶ台返し女子アクション」が参加し、
約10ヶ月間の期間を経て今回の成果に結びつきました。
プロジェクトに参加したメンバーは皆、仕事や研究、子育てをしながら、刑法改正に向けた活動をしてきました。
首都圏だけでなく、関西や海外に住むメンバーも参加し、限られた時間を使って、
戦略を練り行動にうつしてきたといいます。
団体のうち1つ、「ちゃぶ台返し女子アクション」とKURASOU. は、2015年11月にちゃぶ台返しのワークショップを共同開催した縁もあり、本キャンペーンの動向について応援・動向を追ってきました。
具体的な成果については、「ビリーブ・キャンペーン」内のページに詳しく掲載されています。
”明治時代に作られた刑法の性犯罪規定が大きく改正されたのは今回が初めてです。今回の改正で十分とは言えませんが、110年間変わらなかったものを変えた、という意味で大きな一歩です。何より、多くの市民が声を上げたからこそ実現した改正でもあります。” ビリーブ・キャンペーン より
https://www.believe-watashi.com/single-post/kaisei0616
現実的であること・提案姿勢であること・未来を見据えること
会場では、今回のキャンペーンの成功した要因について、活動当事者や、ジャーナリスト、署名サイト change.org より振り返りがありました。
- 9ヶ月間で衆参両院与野党の国会議員45名と面会。
署名の数や状況を分かりやすく説明し、あくまで提案型・合理的に提案。お礼まわりなどきめ細やかで礼儀のある姿勢でコミュニケーションをとった。意思決定者が誰になるのかを確実に掴んでいった。
- 「同意」について問い対話する文化を醸成するワークショップを展開。
キャンパスレイプが深刻化する中で大学生を巻き込み複数の大学でワークショップを展開。男女同等数の比率だった。
- フェミニスト・アートグループによる社会運動とアートの表現を通し戦略的に幅広い層に共感を呼んだ
- 署名サイト change.org で署名を集めウェブ上でも広く共感を呼んだ
- 体系化されたコミュニティ・オーガナイジング の手法を使い、ゴール設定、戦略、実践まで結びつけたこと
他にも要因は様々語られることとなると思いますが、主な点をご紹介しました。
上記の取り組みの中で一貫して、「現実的なこと、提案姿勢であること、未来を見据えること」を徹底され、
4つの団体が目指す共通のゴ−ル、チームビルディングが非常にうまくいった結果だと
受け止めることができました。
今後、3年後のよりよい刑法改正に向けて活動を行う団体や、
引き続き「同意とは何か」を対話するワークショップを展開するなど、他方面で活動が継続していくとのことです。
政治家と直接話し、声を届け、成果に結びつけたこのキャンペーン。
「政治家も人である。そして政治家はわたしたちの声の代弁者。」この言葉に本結果の成功がみてとれます。
親と政治が向き合うために、日々問いているわたしにっても、とても勇気をいただいた時間となりました。
(藤岡)